建設業許可の要件5つ!

昨今、あらゆる業界でコンプライアンス遵守が叫ばれています。それは建設業界も例外ではありません。

私のお客様も、ご依頼いただいた理由をお聞きすると

「元請から取ってくれと言われたから。」

「許可を取らないと、今までのように仕事を回せないと言われたから。」

「許可を取れば今まで以上に仕事をお願いできると言われたから。」

「外国人技能実習生を雇用するためには許可業者でないといけないから。」

などなど、ご事情は様々です。

そして共通してお持ちの疑問。それは・・・「ウチは許可取れるの?」です。

そこで今日は建設業許可の要件(必要条件)を丁寧にご紹介していきたいと思います。ご自分の事業と照らし合わせてみてください。許可が申請できる状態か否かがわかると思います。

※ 許可要件自体は地域差はありませんが、必要になる書類や、証明の仕方などは各地域によって若干ことなる場合があります。ここでは愛知県を例にとって解説させていただきます。

まず、建設業許可は「知事許可」と「大臣許可」の2つの許可があります。

「知事許可」とは? → 一つの都道府県内にのみ営業所を設けて建設業を営もうとする方は、その都道府県の知事の許可が必要になりますので「知事許可」と呼びます。

「大臣許可」とは? → 複数の都道府県において営業所を置き、建設業を営もうとする方は、国土交通大臣の許可が必要になりますので「大臣許可」と呼びます。

※ここで言う営業所とは、常時建設工事の請負契約を締結する事務所を指します。契約関係は本店に回して締結している場合はここで言う営業所には該当しません。

次に、「特定建設業」と「一般建設業」があります。

「特定建設業」とは? → 元請として請け負った1件の建設工事につき下請けに出す代金の合計額が4,000万円(建築一式工事は6,000万円)(いずれも消費税含みます。)となる場合、その元請業者は「特定建設業」の許可が必要になります。

「一般建設業」とは? →  元請として請け負った1件の建設工事につき下請けに出す代金の合計額が4,000万円(建築一式工事は6,000万円)(いずれも消費税含みます。)以上にならない方、または下請けとしてだけ営業しようとする方は「一般建設業」の許可が必要になります。

今回は、その中でも最も多くを占める「知事許可、一般建設業」のケースで解説していこうと思います。

要件その1

経営業務の管理責任者 → その字からも想像できると思いますが、「建設業を経営者として営んできた経験者」と言えます。かんたんに言いますと「社長・個人事業主としての経験」です。

ちなみに「常勤」であることが必須です。

この経験してきた年数が問題です。建設業には29の業種があります。それぞれの解説は別の機会に記事を書きます。

① 土木一式工事

② 建築一式工事

③ 大工工事

④ 左官工事

⑤ とび・土工・コンクリート工事

⑥ 石工事

⑦ 屋根工事

⑧ 電気工事

⑨ 管工事

⑩ タイル・れんが・ブロック工事

⑪ 鋼構造物工事

⑫ 鉄筋工事

⑬ 舗装工事

⑭ しゅんせつ工事

⑮ 板金工事

⑯ ガラス工事

⑰ 塗装工事

⑱ 防水工事

⑲ 内装仕上工事

⑳ 機械器具設置工事

㉑ 熱絶緑工事

㉒電気通信工事

㉓ 造園工事

㉔ さく井工事

㉕ 建具工事

㉖ 水道施設工事

㉗ 消防施設工事

㉘ 清掃施設工事

㉙ 解体工事

以上です。

今回許可を受けたい業種の経験でしたら5年。

今回許可を受けたい業種以外の業種の経験でしたら6年。

の経験を証明できればクリアです。

「え、自分は社長じゃなかったんだけど・・・。」

社長でない方であっても「役員」や「執行役」「有限会社の取締役」などであれば問題なくクリアです。

その他にも、「その地位に準ずる地位」という環境の方の経験年数での申請も、必要書類は多いですが可能です。細かな部分の質問がありましたらいつでもこのHPからでもLIN@、電話からお聞きください。

要件その2

専任技術者 → その営業所に常勤して専らその職務に従事することを要する方をいいます。

条件は簡単に分けて3つです!

① 国家資格や民間資格をお持ちである。

→ 例えば、一級建築士,二級施工管理技士,建築設備士などの事です。

国家資格であればその資格をもって問題なくクリアです。

民間資格であれば、数年の実務経験を要する資格もありますのでお聞きください。

② ・所定の学科での高等学校,中等教育学校の卒業後5年以上の実務経験

  ・所定の学科での大学,高等専門学校卒業後3年以上の実務経験

を有する方であればクリアです。

では「所定学科って?」

土木工学,建築学,都市工学,電気工学,機械工学,衛生工学などです。

③ 10年以上の実務経験での証明

建設工事の施行に関する技術上の全ての職務経験を言います。しかし、ただ単に建設工事の雑務のみの経験年数は含みません。

今回許可を取得したい業種に従事した10年以上の経験を証明します。

独立されて10年以上経過している方でしたら自社による証明

独立されて5年経過している方でしたら5年は自社証明 + 前職の会社からの証明

などさまざまな方法であなたの10年以上の経験を証明できればクリアです。

要件その3

誠実性 → 請負契約に関して不正又は不誠実な行為をする恐れが明らかでないことが必要です。

法人,法人の役員,個人事業主,支配人,支店長,営業所長,などが該当します。

「不正な行為とは」 請負契約の締結又は履行の際に、詐欺や脅迫、横領などをさします。

「不誠実な行為とは」 工事内容、工期、天災等不可抗力による損害の負担等について請負契約に違反する行為をさします。

※ もし過去に上記の行為をしてしまい、免許等の取消処分を受け、その最終処分の日から5年を経過しない方である場合は、この基準を満たさないものとなってしまいます。

要件その4

財産的基礎等 → 請負契約を履行するに足りる財産的基礎又は金銭的信用を有しないことが明らかな方でないこと。 要するに、建設業を営むにあたり、十分な財産があること。という意味です。

では「十分な財産とは」500万円です。(あくまでも一般建設業の場合です。)

① 申請日の直前の決算において、自己資本が500万円以上であること

→ 満たせていない場合は、主要取引金融機関から口座に500万円以上ある残高証明書を提出する必要あり。

→ その他にも、許可申請と同時に個人事業主から法人成りをして申請するケースも多いです。その際、問題が無ければ資本金を500万円にしていただけますとスムーズです。

② 許可申請直前の5年間、許可を受けて継続して営業した実績があること

③ 500万円以上の資金を調達する能力を有すると認められること

3つの証明方法がありますが、私の経験上①以外の経験はありません。

要件その5

欠格要件に該当しないこと

① ~ ⑬までの欠格要件に該当しないことが条件です。全て掲載することは割愛させていただくとして、主要な欠格要件を列挙します。

① 成年後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ない方

② 過去に一般建設業、特定建設業の許可を取り消され、その取消の日から5年が経過しない方

③ 過去に営業の停止を命ぜられ、その停止期間が経過しない方

④ 禁錮以上の刑又は罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることが亡くなった日から5年を経過しない方

⑤ 反社会的勢力との関係がある方

以上です。まだありますが代表的な部分を挙げました。

いかがでしょうか。あなた、あなたの会社が建設業の許可を申請できるか否か、簡単にご判断される一助になればと思います。

何かご不明な点は、いつでもご連絡ください。

最後までお読みいただき、本当に有難うございました。

 

投稿者プロフィール

石川 裕樹
愛知県を主な活動エリアとしております。行政書士というお仕事が大好きです。この資格を通して、ご依頼者様の幸せに貢献できることがたくさんあります。1つ1つの業務に丁寧に当たらせていただきたいと思っております。
「いかに誠実に正直に仕事できるか。」が私のテーマです。